本研究は平成3-5年度の継続研究である。平成3年度は、海外赴任者のストレスを、主に質問調査や面接調査から調べた。平成4年度は、異文化受容ストレスの具体的な対処法として、軽運動やリラクセーション訓練を用い、それらの効果を生理心理学的手法を用いて調べた。最終年度の平成5年度では、過去2年間で調べてきたストレス対処法が、日常生活の実際のストレスに対して有効か否かを質問調査や面接法を用いて追跡調査を行った。その結果、本研究で行ってきたストレス対処法の有効性が確認された。 本研究を始めたきっかけは、研究代表者の米国留学時に経験した不適応である。従来のストレス研究は、主に原因-結果の因果関係や身体、心理、行動面に表れる種々の反応に注意が向けられてきたものの、その対処法の効果に関する研究は十分に行われてきたとは言えない。また、ストレスに関する実態把握が必要だとしても、実際に苦しむ多くの人達は現実的な解決を願っている。それゆえ、現在のストレス研究においては、基礎研究と同様に、応用としてのストレス・マネジメントの研究に注意が向けられるべきである。ストレス・マネジメントは、カウンセリングや心理療法などの対症療法的なものより、むしろ予防措置としての意味合いが強い。そのため、本研究においては、伝統的な心理学的手法に片寄りがちなストレス対処法よりもむしろ日常の生活の中で実行可能なものを研究対象として選んだ。これらの成果は、研究成果報告書としてまとめた。
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