研究概要 |
1.Na^+ーAtPaseの膜表在性ATPase触媒頭部をカラムクロマトグラフィ-等により細胞膜より可溶化・精製した。精製標品の分子量は約400KDaで73kDa,52kDa,29kDaの各サブユニットから構成されていた:これらサブユニット間のstoichiometryはおよそ3:3:1であった。73kDaサブユニットのアミノ末端及びそのトリプシン消化断片のアミノ酸配列をそれぞれ20残基、15残基Protein sequenaterにより決定したところ、それらはすでに報告されているV型ATPaseのlarge subunit間に共通に保存されているアミノ酸配列を有していた。これら決定されたアミノ酸配列に対応するprimerをデザインしてPCR(polymerase chain reaction)法による73kDaサブユニット遺伝子の部分増幅を試みた。V型ATPaseのlarge subunitとして予想される約1kbの大きさのDNA断片が結果として増幅された。その塩基配列を決定し演繹されるアミノ酸配列をV型ATPaseの該当部分と比較したところ極めて高い相同性を示し(共通アミノ酸残基を50ー60%有していた)、本酵素がV型ATPaseに該当することが一次構造の上で明らかになった。 2.精製標品に対するウサギポリクロ-ナル抗体を調製した。この抗体により膜のNa^+ーATPase活性は阻害された。Na^+ーATPaseは細胞内のNa^+濃度上昇をシグナルに誘導されるが、Na^+ーATPaseの誘導条件に対応した73kDa、52kDaサブユニット量の変動がwestern blotting法により観察された。すなわち精製標品がNa^+ーATPaseの触媒頭部であることが免疫化学的に確認できた。 3.本菌genomic libraryをE.coli系で作製するのに当初plasmid vectorを用いていたが、transformationの効率が極めて悪く、現在はcosmid libraryを作製し、PCR増幅断片をプロ-ブに本酵素遺伝子(オペロン構造を予想している)のクロ-ニングを試みている。
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