紫外線によるDNA損傷を認識している蛋白を同定する目的で、Glshift法により紫外線照射DNAに特異的に結合する因子の同定を試みたところ、ショウジョウバエ胚細胞中に2種の因子(因子1及び因子2)をみいだした。これらを分離・精製し、その酵素活性を決めたところ、両因子はいずれも光回復酵素活性を持っている事が解った。因子2は、ピリミジンダイマーを光回復し、従来大腸菌や酵母等でよく知られているphotolyaseのホモログである事が解った。因子1は(6-4)光産物を光回復する酵素である事を明らかにした。このような活性はかって同定されておらず、全く新らしいタイプの光回復酵素である。現在、これらの蛋白をコードしている遺伝子のクローニングを以下の3方法で行っている。 1.プラスミド発現ベクターを用いたcDNAライブラリーを作製し、大腸菌の光回復欠損を相補するcDNAクローンをスクリーニングする。 2.ファージ発現ベクターを用いたcDNAライブラリーを作製し、紫外線照射したDNAをプローブとして、紫外線照射DNAに特異的に結合するcDNAクローンをスクリーニングする。 3.精製蛋白のアミノ酸配列を決定し、それに基きオリゴヌクレオチドを合成し、cDNAライブラリーをスクリーニングする。 今後は、これらの因子のDNA修復系全体に中での役割をより明らかにする目的で、他のDNA修復に関与している蛋白との相互作用をみてゆきたい。
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