研究概要 |
核融合炉のトリチウム増殖材料から、トリチウムを回収するとき、その応答性を改善する目的で、グラファイトとの混合系にすることによって還元雰囲気とし、生成トリチウムの化学形をT_2OからT_2にシフトさせ、脱着を容易にして、この研究を推進した。それで、クヌーセン流出一質量分析分析法によって、種々のリチウム複合酸化物の中性雰囲気下およびグラファイト共存還元雰囲気下において、高温で平衡にある気相ガス種を明かにし、また、化学的安定性を熱力学の面から研究した。得られた成果は次のようである。 1.Li_2O-ZrO_2系複合酸化物として、LiO_2ZrO_3,Li_6およびLi_8ZrO_6の中性雰囲気下での蒸発挙動を調べ蒸発ガス種とその分圧を決定した。Li_2O-ZrO_2系に限らず、一般にLi-M-0(M=Zr、Sn、Ti,Si,AI,Fe、Mo)各系の複合酸化物では、Li_20含有量の少ないもの程、熱力学的に安定であることを明らかにした。 2.Li_2SnO_3では、構成酸化物のLi_2OとSnO_2からの生成エンタルピーが、周期律表で同じIV-bグループに属するしLi_2SiO_3より大きいこと、即ち原子番号が大きくなる程構成酸化物からの生成エンタルピーが大きくなることを見いだしたが、IV-aグループのLi_2TiO_3とLi_2ZrO_3では、逆に原子番号が大きいLieZrOsの方が小さいという興味ある結果を得た。 3.Li_2O-ZrO_2系複合酸化物のコンピューターシミュレーションより、雰囲気中の酸素分圧が低い程、ステンレス鋼との共存性が良くなり、また生成トリチウムのTe2/T2比は、単純な熱力学的計算値に等しいという結果を得た。 4.Li_2ZrO_3-グラファイト系では、Li_2ZrO_3-白金系の中性条件に比べて、酸素分圧を1500Kで8桁低下させることができること、即ちクラファイトの存在は酸素分圧を下げる目的に極めて有効であることを実証した。
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