研究概要 |
都市群システムとは、互いに有機的関連を有した都市の集合体である。本研究は、地域的、国家的、国際的の3レベルある都市群システムの中で、国際的都市群システムを取りあげ、各都市の相互依存関係を明らかにすることをめざした。本年度に行った研究とその成果は以下のように要約できる。 (1)分析する都市群の特定を行った。人口規模や経済機能,政治的重要性などを考慮して,世界で約120の都市を選定した。 (2)それら都市間の相互依存度を航空旅客流動のデ-タを用いて地図化した。その際、結節構造を把握するための手法としては、グラフ理論法を用いた。都市間の依存度はベクトルで表示した。 (3)東京にあるいくつかの航空会社を訪問し、国際線の便数や空席率、季節的変動などについて聞き取り調査を行った。また、国会図書館や運輸省の図書室で、都市間にフロ-を示すデ-タの発掘を行った。 (4)以上の作業の結果、都市間の連結パタ-ンの度合が明らかになったが、特に国際的都市群システムにおける1つの要素である東京の地位が年々高まってきていることがわかった。世界全体では、ヨ-ロッパと北アメリカで強い都市間依存関係がみいだされ、そのなかでロンドン,パリ,アムステルダム,ニュ-ヨ-ク,シカゴ,ロスアンジェルス,トロントなど大都市の求心力が強いことが明らかになった。また世界的規模でみると、南北交流よりは東西交流の方が活発である。 次年度は、このような都市間依存関係のパタ-ンをもたらした要因について、各都市の属性をもとに究明したい。
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