研究概要 |
ヒドラの膜分画を可溶化した蛋白のうち、セファロ-ズに結合する蛋白でマウスを免疫し、モノクロ-ナル抗体を作製した。スクリ-ニングは、組織染色、行動応答に対する効果を指標とした。ヒドラのグルタチオン応答(触手球形成応答)には少なくともR1ーR5の5種類があると考えられるが、これらの応答の一部のみを特異的に抑制する6種類の抗体J1,J13,J24,J245,J5,J5/1が得られた。これらの抗体を利用して免疫組織化学法で染色した場合、J1,J13は体表面上の点状の構造に結合し、J24,J245,J5,J5/1は刺胞細胞の刺針を含む構造と結合した。応答との関連を調べるとJ1はR1,J13はR1,R3,J24はR2,R4,J245はR2,R4,R5,J5,J5/1はR5を抑制した。J24は刺針のみと結合し、J5,J5/1は刺針の基部のみと結合した。J245は刺針の基部から先端部分までの全部の構造に結合した。これらの抗体は神経細胞の構造には結合しなかった。これまで刺胞細胞は独立な効果器と考えられ、自身で感覚受容と刺胞の発射とを行うとされてきたが、本研究ではグルタチオン受容にも関与している可能性があるとの結果である。
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