研究概要 |
平成4年度までに、水中に混入している自然の放射性核種(主にラドンの娘核であるポロニウム)からのα線測定装置を完成させた。シンチレータの表面蒸着は湿度に弱いこと等から、α線検出部にはエポキシ保護のないPINフォトダイオードを使用した。基本的に高圧電源を必要とせず、家庭用電源や乾電池のみで作動でき、高校生が装置を取り扱う際の安全性を確保すると共に、高量子効率と高速応答を得ることができる。又、装置全体を安価(10万円以内)に製作することが可能であるフォトダイオードからの信号増幅部にはハイブリットICを極力用いず高校生程度の知識で回路構成が理解できるものとなっている。又、Poを効率的に補集する手段として、フォトダイオード表面とまわりの金属には電場がかけてある。この装置で波高分析器により測定したところ、Rn222の娘核Po218,Po214からのα線のエネルギースペクトル(6.0MeVと7.7MeV)が検出でき、α線のエネルギー分解能70〜90KeVを得た。又、岐阜大学の地下水と、違う場所での井戸水を9時間測定し頻度を比較すると岐阜大地下水が 28.1±9.5(count/hour)に対し、井戸水 75.6±25.3(count/hour)と環境による違いがみられることがわかった。以上から、測定を通しての自然放射線に関する環境教育や、結果の解析による計測情報処理教育、更に装置製作を通したエレクトロニクス教育などによる教育効果が期待できる。 現在すでに、岐阜県内の4高校と協力関係を築き、クラブ活動などでこのα線測定器を使って測定し、高校が実際にデータ解析を行っている。今後さらに関係を密にし、教育効果を検討すると共に、自動計測システム作りや、データのネットワーク化などを行っていく。
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