研究概要 |
人間を中心とした新しい人とマシンの関係を構築するための基礎デ-タの収集をおこなうことが本研究の目的であり、その方法として交流分析の手法を用いた。本年度は、実際のOA機器(コンピュ-タ,ワ-プロ)の操作経験が十分にある者43名を対象とした深層面接および心理テストを実施した。面接は、(1)マシンに対するストロ-ク(肯定的な働きかけ)やディスカウント(否定的な働きかけ)の種類,(2)マシンからうけるストロ-クやディスカウントの種類,(3)マシンに対する好悪,(4)マシン操作時間,(5)マシン操作時の問題点,(6)マシンと対する仕事を主とする操作者の実生活での対人関係や感情表現の良し悪し,(7)その他、について行った。面接の分析から以下の結果を得た。 ○マシンからの働きかけ 熟練者にとってマシンは大人(A)的な働きを与えうる存在である。しかし、ル-ルを知らない者に対しては、マシンは何等働きかけを与えることができない。自分の働きかけに対して何の応答もないマシンから無視されているように感じたり、あざ笑われているような働きかけを受けることになる。また、エラ-メッセ-ジなどは叱られているような気分になると答える者がいることから不愉快な気分を起こさせる批判の親(CP)的な働きになるものと思われる。 ○マシンに対する働きかけ マシンに対する働きかけは大人(A)的,順応した子供(AC)的になりがちである。しかし、熟練者は表面的なメッセ-ジのやり取りとは裏腹の裏面的な交流を行っている。成果に対し、喜んだり、誉めたり、挨拶し、時にはなでるといった肯定的な働きかけをする。あるいはマシンに対し、悪口をいう、非難する、叩くなど否定的な働きかけをする。
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