研究概要 |
本研究では,聴き手が与えられた音列をどのように体制化・構造化するのか,またその結果どのような音列を“メロディらしいメロディ"として認識することになるのか,その認知過程を記号処理的モデルとして実現することを目的としている。 本年度は,大きくいって,以下の3点の成果を得た。 1.従来の研究成果を踏まえ,メロディ認知の過程には“調性的体制化(tonal organization)"と“リズム的体制化(rhythmic organization)"の2種類の構造的処理が存在することを確かめた。 2.調性的体制化の処理のアルゴリズムを,とりあえずリズム的体制化の処理と独立させた形で追求することとし,そのアルゴリズムを心理学的にも妥当な形で(計算機上に)具体化することに努めた。その結果,一応のプロトタイプ的モデルを構築することができた。 3.2と逆に,リズム的体制化の処理のアルゴリズムを,とりあえず調性的体制化の処理と独立させた形で追求することとし,そのアルゴリズムを心理学的にも妥当な形で(計算機上に)具体化することに努めた。その結果,こちらの側面においても一応のプロトタイプ的モデルを構築することができた。 来年度は,モデルの心理学的妥当性をチェックするための実験を行い,その結果から上記2種類のモデルそれぞれの改良に努める予定である。またさらには,それら2種類の処理の間の相互作用について,実験デ-タを基に,その性格を明らかにすることを目指す。
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