研究概要 |
国立環境研究所作成・大気環境時間値デ-タの磁気テ-プを用い,関東地方の大気環境デ-タのグラフィック表示システムを,アメダス,地上気象官署等のデ-タと合わせ,大気環境時間値の地理的分布,時系列的変化の把握を行っている。今年度は主に,東京近辺の大気環境に大きく影響しているヒ-トアイランド現象に着目し,その強度・分布,気象条件による日変化の相違,季節による相違,並びに放射環境や地域による相違について調べた。放射収支に影響を与える気象条件に着目し,日中の日射が十分にあった(雲量の少なかった)日の夜間の気温分布の変化を,夜間において放射環境の良かった場合と悪かった場合について比較した。 放射環境が良好な夜間・晴天時において,ヒ-トアイランドが最も発達する時間は,最低気温の出現する明け方の頃である。夜間・曇天時においては,日の入り後数時間たった夜半過ぎに最も発達し,都心と郊外の気温差は夜間・晴天時よりも2〜4℃小さくなる。 ヒ-トアイランドの中心は季節によって移動する。東京のヒ-トアイランド強度は,都心と西部の郊外を比較したときに最大となり,冬期の夜間で約5℃である。 放射環境の差異によって生じた気温差は,日射の強い夏期よりも,放射冷却の発達する冬期や移動性高気圧の卓越する季節に最大となり,その分布は都市域の広がりと一致する傾向がみられる。
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