研究概要 |
都市の自動車交通による大気汚染現象広域化シミュレーション及びその制御手法を検討するため,次の作業が行われた。1)都市の自動車交通による排熱や大気環境負荷を推定するため,世界のいくつかの都市や地域を対象として,各種の統計資料より燃料種別の交通部門エネルギー消費量の推定や原単位,シェアの比較を行った。東京における交通部門のシェアは3割であり,そのほとんどがガソリンで占められている。一方北京でのシェアは1割以下であり,多様な燃料種構成を見せている等,都市における交通部門のエネルギー消費の地域的な多様性が伺え,大気環境負荷の原単位にも地域による多様性が考えられた。2)関東地方における海陸風系とオキシダント濃度分布パターンとの関係を明らかにするため,1983年6〜8月の大気汚染測定局の毎時測定データを用いて,海陸風系と時間変化をも含めた汚染地域との対応関係を調べた。汚染地域は陸風の有無と海風の規模によって大きく3つのタイプに,つまり陸風のない時の北関東型,大規模海風の時の関東全域型,海風が前線を伴う時の南関東型に分類され,さらに海風の型により細かく7つのタイプに分類されることが明らかにされた。加えて鈴木・河村(1987)等の手法を参考に,総観気圧場と出現海陸風系の関係より,気象情報を活用した自動車交通量制御シナリオが検討された。また大気汚染現象広域化シミュレーションの条件設定として,これらの海陸風系分類を用いることとした。
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