研究概要 |
製造業におけるCIM(Computer Integrated Manufacturing)の導入が急速に進み,リアルタイム・ベースの管理データのモニタリングを前提とした工程管理や品質保証が必要となってきている.本研究はそのための方法論,および解析ツールの開発を目的としている.このような目的に対して,本年度では具体的に以下の研究成果が得られている. (1)前年度の研究でフレームワークを構築したリアルタイム・ベースでの品質・工程管理,および将来状況の予測を可能とする,定性シミュレーションを用いたモデルベース工程管理システムを,現実の感光ドラム製造現場の蒸着工程を対象として,プロトタイプシステムを開発した,当初計画していた効果的なマン・マシン・インタフェースを構築するまでには至らなかったが,このシステムに対して,現実の稼働データを適用することによりシステムの検討を行ない,提案アプローチの有効性が示された. (2)時系列の品質関連情報に対する解析の方法論として,ARIMA(Autoregressive Integrated Moving Average)モデルを用いたリアルタイム品質情報解析ツールのプロトタイプシステムを開発した.このシステムは時系列の需要情報の予測などにも適応が可能な一方,さまざまな挙動を示す時系列工程データに対して,その構造に合致する分析手法のコンサルテーションを含むものである. (3)製造工程より得られるリアルタイムの品質情報をもとに,不良要因の同定,および不良因果モデルの自動的構築を将来的に可能とする解析ツールに利用できる方法論の1つとして,MDL(Minimum Description Language)基準を適用した逐次的概念学習法を構築した.
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