本年の主要課題は、(1)気候変動下での流量・蒸発量の推定、(2)多層メッシュ法による降雨・融雪流出量の把握、(3)パタ-ン分類による低水流況の分類と流量分布の同定、(4)ファジィ推論による低水流況の予測と節水率の決定、である。 まず、課題(1)については、モンテカルロシミュレ-ション法による降水・気温分布の発生とそれを用いて、既にモデル化されている流域での水文応答特性を求めた。課題(2)については、多層メッシュ型の積雪・融雪ー流出モデルを定式化すると共に、実流域でのパラメ-タ同定を行った。さらに、衛星情報としてNOAAを用い、積雪域の把握と積雪・融雪パラメ-タの同定を行った。課題(3)については、ソフトクラスタリング手法を導入し、ファジィ集合として流況の分類を行った。分類された流況の頻度分布とその統計的特性を利用した日デ-タ(降水・気温)のシミュレ-ション法を提案した。また、パタ-ン分類の結果と現流況の相違(距離)に基した低水流況の発生評価(渇水評価)を行った。課題(4)については、分類された流況と長期気象予報を組み合わせた低水流況の予測と節水ル-ルー知識ベ-ス型の実時間貯水池操作手順を提案した。加えて、予測精度、貯水池、流量の現状、今までの達成度を考慮した節水率の変更過程をモデル化し、制御の効率化を行った。 次年度は、今年度の成果を基に研究課題の達成を図りたい。
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