研究概要 |
環境保全に関する市民の意識変化形成の動的過程を検討するために,昨年までに開発した数理モデル(セル・ダイナミカル・システム・モデル)を用いて,集団の構成員の特性(自己確信度,相互作用特性)が不均質な場合についての検討を行った。その結果,外力による影響がない場合には,定常状態への遷移が見られないケースも生じた。また,外力による影響がある場合にも,構成員の特性が均質な場合に比べ,定常状態への到達が遅くなった。 また,過去に継続して実施されてきた市民意識調査結果を用いて,環境保全意識の経時的な変化について検討した。本研究で提示した環境保全に関する市民の意識・態度の形成と発展の動力学的過程に関する数理モデルは,市民意識の経時的な変化をシミュレートすることができたが,遷移確率の関数形を得るまでには至らなかった。 全体を通して,数理モデルの特性と有効性について整理するとともに,数理モデルとアンケート調査の連係方法等,分析手法における問題点を総括し,その改善方法について考察した。遷移確率の関数形等を検討するためには,アンケート回答結果を数量化する点等に問題があることを指摘した。
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