研究概要 |
藻類・細菌共存下における窒素の消長に関する実験・研究を進めるために、窒素負荷等の物質収支を定量的に把握することの可能な室内実験を行った。具体的計画は以下のようである。 1.光合成作用が行われる明条件下で、照度の影響について0ー100、500、1,000、5,000、10,000 luxと5段階に設定して実験的に検討する。 そのために、5台の完全混合連続培養装置(容量51)を用い、滞留時間を16時間、温度を25℃として、淡水系および汽水系における藻類の光合成作用と硝化関連細菌による硝化作用・脱窒作用および両者の相互作用等を実験的に明らかにする。平成3年度は淡水系について実験を進めた。 2.淡水系の植種用藻類及び硝化細菌、脱窒菌は、郡山市内の阿武隈川水域より採取し摂取する。標準基質は塩化アンモニウム(Nとして10mg/l)とリン酸とし、痕跡元素を添加する。 3.以上の実験の結果、淡水系について次のような知見が得られた。 (1)pH値は、照度0ー100、では4.8程度であるが、照度が高くなるにつれてpH値は低下する傾向にあり、5,000、10,000luxでは4.4、4.3であった。 (2)藻類の1次生産の指標となるCODOHは、照度が高くなるにつれて大きい値が示され、照度の影響が確認された。 (3)藻類の1次生産の指標となるSSはCODOHと同様、照度が高くなるにつれて大きい値が示される傾向があり、照度の影響が確認された。 (4)藻類の1次生産の指標となるクロロフィルaは、SSはCODOHと同様、照度が高くなるにつれて大きい値が示される傾向があり、照度の影響が確認された。 (5)流入アンモニア性窒素は、80ー90%がそのまま流出しているが照度が大きいほど藻類による摂取の傾向が見られ、硝化細菌による硝化は小さいようである。一方、照度が小さいほど、藻類の摂取は小さく、硝化の傾向が小さいながらも見られている。なお、亜硝酸性窒素の生成は殆ど確認されなかった。 (6)窒素同化率は、照度0ー100luxで14.2%、500luxで16.1%、1,000luxで22.9%、5,000luxで23.3%、10,000luxで26.6%の値が得られ、照度の影響を定量的に把握することができた。 (7)優占藻類は今回設備備品費で購入した生物顕微鏡による観察の結果、藍藻類のPhormidiumであることがわかった。
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