研究概要 |
近年,曖昧性や矛盾を含んだ知識の推論や学習等の,より人間的で複雑な判断をめざした新しい知識情報処理の基礎研究も様々な分野で盛んに行われている。しかしながら従来の論理学を中心としたエキスパートシステムに比べて基礎理論が不完全であり評価基準も不明確であるため得られ結果が理論的に明快に保証されずシステム化が進んでいないのが現状である.本研究ではこれら新しい知識情報処理のために今までの個別的な研究ではなく,人間や組織における判断で取り扱われる情報に着目した統一的な基礎理論の構築をめざしている.そして,その基礎理論上で個々の新しい知識情報処理の分野でネックとなっている基本問題について情報理論,統計理論的尺度から最適なアルゴリズムをいくつか提案し,さらにこのアルゴリズムを応用した知識情報システムの評価を行うことを目的とした. 今年度は,3,4年度の基礎的研究も進めるとともに,4年度に提示したアルゴリズムの性質を様々な観点から考察,評価した.提案アルゴリズムをそれぞれ以下の2つの視点から方法を評価を行った. 1.アルゴリズムを提案する基礎になった仮定や最適性の基準よりアルゴリズム自体の理論的限界や信頼性についての評価を行った.特に推論の計算量や知識,事実の量などの評価尺度について基本的視点より再検討を行った. 2.類似の問題にたいして従来提案されていた手法との比較を設定したモデルや仮定した条件の違いに注目して行った.さらにいくつかの評価基準からその最適性についても検討を行った. また,前年度検討を行った経営工学における将来型の知識情報システムの重要な部分システムを切り出し,提案したアルゴリズムのいくつかを組み合わせることによる実現可能性について基本仕様の検討と上記基本的評価の結果より考察を行った.さらに経営工学の従来型の手法との関係や融合も検討中である.
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