1. 水道水源となる河川における農薬汚染の実態を把握するために、2年間にわたり1つの河川を対象として、毎月1回、農薬挙動調査を行った。14種類の農薬が検出され、その検出状況に季節変動が認められた。6、7月にはブロモブチド、ベンチオカーブ、エスプロカルプ、プロメトリン、シメトリンが、8月にはダイアジノン、オキサジアゾン、フサライド、フットラニルが検出され、4カ月にわたって検出されたのはイソプラチオンのみであった。河川中の農薬の最高濃度と水溶解度の間に正の相関が認められた。 2. 凝集沈殿処理による農薬の除去特性について検討した。有機リン系のMEP、クロルピリホス、ダイアジノン、IBP、PAP、MPP、EDDP、PMP、及びその酸化処理副生成物であるクロルピリホクソン、ダイアゾクソンは凝集沈殿処理により除去されず、最も高い除去率を示したMPPあるいはPAPでもその除去率は約30%であった。特にクロルピリホスとクロルピリホクソンは原体よりもさらに除去率が低下し、オキソ体になることで親水性が強くなった影響が表れた。 3. 粉末活性炭による農薬の吸着特性について検討した。吸着実験の結果、農薬の活性炭への吸着等温線はFreundlich型で示すことが明らかになった。また、精製水と河川水に農薬を添加した吸着量を測定した結果、精製水の方が活性炭に吸着しやすいことがわかった。これは、河川水中に共存する溶解性物質が農薬と競合的に活性炭上に吸着し、農薬の吸着を阻害しているためと考えられた。粉末活性炭を50ppm添加したとき、暫定水質目標値を達成できる最大農薬濃度は目標濃度の5ないし60倍の濃度であった。 4. オゾン処理を加えた高度処理における農薬の除去率を求めた。DEPを除く農薬については、ほぼ100%近い除去率が得られた。
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