研究概要 |
分裂酵母の減数分裂の制御機構を体細胞分裂と対比して調べている。 まず、既に細胞周期の進行に重要であることがわかっているいくつかのcdC遺伝子が減数分裂にも必要であるかどうかを系統的に調べた。MPF活性をコ-ドするcdC2遺伝子については、これが減数第2分裂にだけ必要であるとの報告があるが、cdc2のいくつかのtsアレルを用いて実験を行なった結果、アレルと温度により、減数第2分裂だけが欠損する場合とどちらの分裂も起こらない場合とが見られた。従って、cdc2遺伝子は減数第1・第2分裂にともに必要である。しかし、両分裂が起こらない条件下でも減数分裂前DNA合成は起こっていた。すなわち、cdc2遺伝子は体細胞分裂においてはDNA合成の開始と核分裂の開始に必要であるが、減数分裂では核分裂にだけ必要である。B型サイクリンをコ-ドするcdc13も両分裂に必要であった。cdc2の活性化因子であるcdc25もおそらく両方の分裂に必要である。 次に、G1期に静止させた細胞に減数分裂を開始させ、cdc遺伝子の発現を調べた。ribonucleotide reductaseのlarge subunitをコ-ドするcdd22遺伝子は、減数分裂前DNA合成に先だって発現が誘導され、その後、2度の分裂に先立ちcdc25及びcdc13遺伝子の発現の誘導が見られた。cdc25とcdc13の発現誘導は、DNA合成を阻害したときに見られなくなった。これに反し、体細胞分裂においては、cdc25及びcdc13の遺伝子発現はDNA合成に依存していなかった。減数第1分裂が開始しないmei4変異体では、cdc22の発現は正常であったが、cdc25,cdc13は発現していなかった。これらのことより、減数分裂におけるDNA合成と核分裂の共役の機構は体細胞分裂と異なり、mei4を介したcdc25,cdc13の転写調節を含むものであることが示唆された。
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