研究概要 |
本研究の研究目的に従い、分裂酵母における減数分裂の制御機構を体細胞分裂と対比して調べるために、体細胞分裂を制御するcdc遺伝子がそれぞれ減数分裂に必要であるかを調べた。MPF活性をコードするcdc2遺伝子については、これが減数第2分裂にだけ必要であるとの報告(Beach,Rodgers & Gould、1985)があるが、cdc2のいくつかのtsアレルを用いて実験を行なった結果、アレルと温度により、減数第2分裂だけが欠損する場合とどちらの分裂も起こらない場合とが見られた。すなわち、cdc2遺伝子は減数1・2分裂にとも必要である。p34^<cdc2>の活性化因子であるcdc13,cdc25も両方の分裂に必要であることがわかった。 次に、G1期に静止させた細胞に減数分裂を開始させ、cdc遺伝子の発現を調べた。ribonucleotide reductaseをコードするcdc22遺伝子は減数分裂前DNA合成に先立ち発現が誘導され、cdc13とcdc25は減数第1分裂に先だって発現が誘導されることが観察された。ヒドロキシウレアにより減数分裂前DNA合成を阻害すると核分裂がおこらなくなるが、このとき、cdc13とcdc25の発現はわずかにしか誘導されていなかった。また、この二つの遺伝子の発現誘導は、mei4変異体では見られなかった。mei4遺伝子の発現自体も、DNA合成依存的にこの時期に誘導される。これらのことにより、減数分裂におけるDNA合成と核分裂の共役は、mei4を介したcdc13,cdc25の発現制御によるp34^<cdc2>の活性調節をそのメカニズムの一部としている可能性が明らかとなった。
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