研究概要 |
本年度は 1)酵母減数分裂期におけるCAMPとエストロゲン作用 2)酵母エストロゲンリセプター遺伝子の単離の2点を目標として研究を行なった。 1)2倍体酵母を減数分裂の条件下で,培養すると数回の体細胞型分裂ののちに減数分裂へはいる。この体細胞分裂期に経時的にCAMP濃度を測定すると,CAMPレベルが非常に低下していることが判明した。この事実は活発な細胞分裂期には酵母ではCAMPレベルが高いとされて来たこれまでの知見と反するものである。そこで,CAMP合成の出来ないCyr1株を用いてCAMP存在下及び非存在下で減数分裂を行なうと,すでに減数分裂にコミットされた2倍体酵母ではCAMPレベルが低下しても活発な体細胞分裂を数回行なうことが判明した。この分裂様式は現在までの知見で得られていたCAMPレベルが高いと細胞が活発に分裂すると言う結果に反しており,新しいタイプの細胞分裂であることが示唆された。減数分裂直前にこれまでとは異なるタイプの分裂様式が存在することは非常に興味深い。 2)エストロゲンリセプターのエストロゲン結合モチーフにはコンセンサス配列が存在する。このコンセンサス配列を含むPCRプローブを作成し酵母DNAをPCR法で増殖させたところ。そのサイズから見てエストロゲンリセプター遺伝子である可能性のある配列(100bp)を得た。現在このDNAを用いて酵母遺伝子ライブラリーより対応する遺伝子をさがしている所である。
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