研究概要 |
真核細胞から単離した核マトリックスのDNA合成活性が,微小管結合タンパク質のひとつであるMAPーU(MAP4)の添加によって著しく高められることを見出し,この活性化が主としてDNAポリメラ-ゼのデオキシヌクレオチドミリン酸に対する親和性を高めるためであることを明らかにした。また,MAPーUがDNAポリメラ-ゼと結合することも確かめられた。以上の結果は,Biochemistryに投稿し,現在印刷中である。 また、ラット肝細胞を増殖刺激することにより,ある種のタンパク質が核マトリックス中に顕著に誘導されることを見出した。このタンパク質について精製を行い,抗体を作製し,現在そのアミノ酸配列を調べている。また,アフィニティ-精製した抗体を用いて,このタンパク質の,増殖刺激に伴う発現のタイムコ-スや,細胞核マトリックス以外にも分布するか否かについての検討を行っている。 当初の計画では、人学的処理なしに細胞周期を同調させることのできるPhysarum polycephalumの変形体を用いて,その細胞周期に伴って変動する核マトリックスタンパク質について,精製や性質決定を行う予定であったが,前記のラット肝核マトリックスタンパク質の精製を先に行ったため,Physarumの仕事は大幅に遅れてしまった。この細胞周期依存性核マトリックタンパク質については,平成4年度以降,上記の研究と併せて行っていく予定である。
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