研究課題/領域番号 |
03833019
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子細胞生物学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助手 (70223237)
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研究分担者 |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 細胞膜骨格 / カルシウムイオン / アネキシンVI / カルスペクチン / 燐脂質 / アクチン |
研究概要 |
細胞膜骨格構造は、アクチンやスペクトリン・ファミリー蛋白質を主要構成員とし、細胞形態の維持やその他種々の機能を果たすと考えられている。スペクトリンやスペクトリン・ファミリー蛋白質であるカルスペクチンは、アンキリンなどを介して細胞膜蛋白質に結合している。この細胞膜蛋白質としては、赤血球のバンド3やNaチャンネルなどのイオン・チャンネルが知られており、細胞膜骨格或はイオン・チャンネルの機能制御に両者が密接に関与していることが考えられる。本研究では、脳のアネキシンVIに焦点を当て、その結合蛋白質を検索すると共に継胞膜骨格の機能制御への関与を検討した。まず、脳の細胞骨格分画を用いてアネキシンVI結合蛋白質の検索を行った結果、5種類の蛋白質がカルシウム及び燐脂質依存性にアネキシンVIと結合した。これらのアネンキシンVI結合蛋白質のうち分子量240,000の蛋白質は、分子量や低イオン強度下での可溶性などからカルスペクチンと同定された。カルスペクチンは、F-アクチンを架橋する作用を有するが、アネキシンVIがこの作用にどの様な効果を持つかを落球法による粘度測定及び遠心法により解折した。その結果、アネキシンVIは、カルシウム、燐脂質存在下においてカルスペクチンによるF-アクチンの架橋作用を阻害した。このような条件下では、カルスペクチンはF-アクチンよる解離した。すなわち、アネキシンは、カルシウム、燐脂質存在下にカルスペクチンと結合し、カルスペクチンをF-アクチンから解離させることによりF-アクチン架橋作用を阻害すると考えられる。以上の結果は、アネキシンVIが、細胞膜骨格のカルシウム制御に役割を果たすこを示唆する。今後、このアネキシンVIによる細胞膜骨格調節がどの様な細胞機能に対応しているのか、他の細胞骨格蛋白質やイオン・チャンネルがどの様に関与しているのかを明らかにする必要がある。
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