研究概要 |
細胞周期におけるA型およびB型サイクリンの発現をみるために、ハムスターの温度感受性変異株tsBN462を用いた。この変異株は、非許容温度39.5℃におけるRNA合成の異常を示し,G1/S境界に停止する。この株を非許容温度において,サイクリンA,B1の発現をみると,合成の誘導が,mRNAレベルでみられず,タンパク質も出現していない。一方許容温度では,発現が誘導されており,また,細胞株はS期に入り,細胞周期を進行していた。野生株BHK21で同様の実験を行なったところ許容温度でも,非許容温度でも,どちらの遺伝子についても発現がみられた。いっぽう,cdc2の合成をmRNAとタンパク質レベルでみると,mRNAはtsBN462株で,サイクリン遺伝子と同様のパターンを示した。タンパク質は,低血清の条件下では,かなりの量存在しており,G1/S期以降非許容温度で,タンパク量の増加がみられない点が許容温度と異なる点である。新たに合成されたサイクリン遺伝子群のタンパク質と新たに合成されたcdc2が相互作用することを示唆するデータが得られた。
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