研究課題/領域番号 |
03833028
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子細胞生物学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小松 明 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80075423)
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研究分担者 |
山元 大輔 三菱化成, 生命科学研究所・脳神経科学研究部・プロジェクト5, 主任研究員,グループ
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 配偶行動 / キイロショウジョウバエ / P因子 / 分子遺伝学 / 突然変異 / satori / fruitless / spinster |
研究概要 |
Jumpstartと呼ばれる方法で動く遺伝子、P因子を1個第2ないし第3染色体に挿入し、突然変異を誘発し、配偶行動に異常を来たした数系統を分離した。行動のバイオアッセイは二つの方法で行った。ひとつは、処女雌と一緒にされた雄の求愛歌を小型マイクロフォンにより記録するというものであり、もうひとつは、雌雄1匹ずつを1mlの容器にいれて肉眼で観察し、交尾に至るまでの潜時、および交尾持続時間を計測した。 分離された配偶行動異常変異体のひとつ、spinsterは、処女雌が異常に強い交尾拒否行動をとるために交尾が稀にしか起こらない変異体である。spinsterのcDNAクローニングによって、この遺伝子は数個の膜貫通ドメインを持つ新規の膜蛋白質をコードしていることが分かった。この蛋白質は、神経伝達物質のモノアミン類を細胞内に取り込む働きをするトランスポーター蛋白質と一部類似した部分があった。 また、satoriと名付けられた変異体は、雄が雌にまったく求愛せず、雄に対して求愛行動を示す同性愛系統である。唾腺染色体へのin situハイブリダイゼーションにより、P因子挿入部位を調べたところ、第3染色体の91Bにマップされた。satoriを既知の同性愛系統であるfruitlessと相補性検定にかけたところ、satori/fruitlessというヘテロ接合体の雄は他の雄に対して明瞭な求愛行動を示し、両者は相補的でなかった。一方この雄は雌に対しては求愛行動を示し中には交尾に至るものもあり、この点ではsatoriはfruitlessによって相補された。P因子に組み込んである大腸菌のβ-galactosidase遺伝子、lacZ、をレポーターとして利用し、β-galactosidaseを発現する細胞を組織化学的に染色したところ、脳の一部の細胞に発現が見い出された。この遺伝子の分子遺伝学的な解析は現在実行中である。
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