細胞増殖制御に関与する受容体Tyrキナ-ゼの同定と、そのシグナル伝達のカスケ-ドを解明するために、ショウジョウバエのPDGF受容体相同遺伝子などの新たな受容体Tyrキナ-ゼ遺伝子を単離し、その構造解析と共にそれらの欠損した突然変異体を分離し、その機能やカスケ-ドを主に個体レベルから解明することを目的とする。 これまでにヒトcーretをプロ-ブとして6種の新しい受容体Tyrキナ-ゼ遺伝子を単離した。また、キナ-ゼドメインの共通配列を利用したPCR法によってもいくつかの遺伝子を単離した。塩基配列の解析からこれらの内の2種がFGF受容体様の構造を有することを明かにした。唾腺染色体へのin situハイブリダイゼ-ションにより決定した染色体上の位置から、各々DFR70CとDFR90Eと命名した。いずれも4.3kbのmRNAを産生し、全発生過程を通じて発現されること、そして、胚発生後期に発現が高いことを認めた。また、各々のcDNAも単離し、その配列を遺伝子のそれと比較したところ、DFR90Eはイントロンを含まないことが解った。胚へのin situハイブリダイゼ-ションにより、DFR70Cは気管形成部と正中線細胞で、そして、DFR90Eは中胚葉組織で特異的に発現されることを見いだした。 単離した遺伝子が欠損した突然変異体の分離を試みつつある。そのために、P因子が染色体上の任意の位置に挿入された系統を多数作成し、P因子と単離した遺伝子の配列を利用したPCR法やプラスミドレスキュ-法で特定遺伝子座へのP因子の挿入を検出することを試みつつある。
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