研究課題/領域番号 |
03F00535
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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研究分担者 |
AVAL Mohammad Bannayan 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 二酸化炭素 / CO2 / 生物地球化学 / プロセス・モデル / 生態系 / FACE |
研究概要 |
アメリカニューハンプシャー大学で開発された農業生態系の生物地球化学モデルDNDCを導入して、実際にシミュレーションを行えるように、コンピュータのハードウェアとソフトウェアを整備した。また、世界的に広く用いられている農作物生長シミュレーションモデルORYZA2000を導入して、コンピュータ上で利用可能とした。 次いで、これらのモデルを用いて、岩手県雫石町で1998年から2000年にかけて実施されたFACE(開放系大気CO_2増加)実験の結果をシミュレートした。その結果、DNDCとORYZA2000の両モデルとも、イネのバイオマス増加とコメ収量に及ぼすCO_2増加の影響は概ね適切にシミュレートできたが、葉面積の拡大に及ぼすCO_2増加の影響は過大に評価する傾向が見出された。これは、どちらのモデルでも、葉面積の拡大を炭素同化量の増加にリンクしているために、CO_2増加によって炭素同化量が増えると葉面積が増えることに起因する。実際の観測からは、葉面積の展開は炭素よりも窒素の吸収とより密接に関連しており、そのため生育初期にCO_2増加で窒素吸収が促進されている間は葉面積の拡大も促進されるが、窒素供給がもっぱら無機化窒素のみに依存するようになると、葉面積生長が促進されなくなると考えられている。 今年度の研究結果は、3月20日から25日までスイスMonte Veritaで開かれた、大気CO_2増加が農林業生態系に及ぼす影響の国際ワークショップで、口頭及びポスター発表した。また、主要部分を論文としてとりまとめたので、まもなく投稿予定である。
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