研究課題/領域番号 |
03F00742
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥山 剛 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授
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研究分担者 |
ALMERAS Tancrede 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 樹木 / 膨圧 / 直径 / 水ポテンシャル / 木部 / 内樹皮 / 日周期 / 接線ひずみ |
研究概要 |
樹木の二次成長過程における分化中木部細胞の膨圧は日周期ををもつ。この膨圧の日周期が細胞壁成分の堆積に日周期をもたらすことが、当研究室の最近の研究から明らかになりつつある。すなわち、日中の膨圧が低い時にはセルロースミクロフィブリルが堆積・形成され、夜間、膨圧が高いときにはマトリックス、特にヘミセルロース成分が堆積することがわかってきている。この研究をさらに進め、細胞壁の形成過程における物理的要因を定量的に明らかにするためには、分化中木部の細胞内の膨圧の絶対値を知ることが必要になる。 そこで、この研究では、内樹皮に貼付したひずみゲージによって膨圧変動の周期を正確に測定するとともに、その値から繊維弾性モデルを用いて膨圧の絶対値を推定する方法を確立することを目的とする。今回検討した結果をまとめると、1、木部を弾性円柱とし、内樹皮が外部層として木部を拘束する弾性モデルを構築した。そのなかで、水圧が内部圧力として付加されるモデルとした。これによって、樹幹内部の水圧と内樹皮の接線ひずみとの対応が予測できる。このモデルを使い、過去の測定データにもとづいてシュミレーションした結果、(1)木部の接線ひずみは内樹皮の接線ひずみと比べ無視できないレベルである。(2)半径応力は形成層帯部分で最大となる。という結果を導いた。 2、上記の結果を3年生スギ苗を用いた実験によって検証した。すなわち、木部および内樹皮表面の接線ひずみの変化と、夜間、昼間の水ポテンシャルとの関係と、別に測定した木部、内樹皮の引張ヤング率の結果説明するために、モデルによるシュミレーションを行い、その測定し、その結果、上記の結論を裏付けることができた。 3、スギ苗樹幹の基部を切断し、そこに規定の水圧を直接加え、直径変動と接線ひずみの変動を測定した結果、両者には、よい相関が得られた。これによって、水ポテンシャルが純粋な力学的要因として接線ひずみを生み出す過程が明確となった。
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