IP_3Rに結合する新規のタンパク質を同定し、アービット(IRBIT)と名付け2003年に発表した。このIRBITに結合する物質を抗体を用いてマウスの小脳から同定した結果、ナトリウム/炭酸水素共トタンスポター(NBC1)に相当するアミノ酸配列が検出された。その結果を基にNBC1とIRBITの結合様式を明らかにすることにした。 NBC1抗体によるIRBIT結合の確認 NBC1には3種のタイプが存在するが、その3種とも脳内で発現している。免疫沈降実験の結果、pNBCとbNBCがIRBITと結合することが明らかとなった。kNBCが結合しなかったことからpNBCとbNBCに存在しkNBCにはないN末領域のアミノ酸部分がIRBITに結合するのだろうと類推された。 NBC/IRBIT/IP_3R三量体形成 NBCもIP_3Rと同様にIRBITが結合することから、脳内でこの3つの分子がコンフォメーションを形成している可能性が考えられた。そこでマウス小脳で抗NBC抗体を用いて免疫沈降実験を行った結果、IP3Rも共沈してくることが確認された。さらに強制発現蛋白質でのプルダウン実験でも同じ結果が得られ、その上IP3RとNBCは直接には結合せずIRBITを介して始めて結合が確認された。 強制発現NBCタンパク質でのプルダウン実験 NBC1-MBPタンパク質の強制発現ベクターを作製し作為的に合成した蛋白質とIRBITとの結合確認実験を行った。コントロールにはpNBCにMBPを結合させたタンパク質を用い、N末端側の領域が重要であることを示すために1残基から88残基目のアミノ酸を含むpNBCとbNBCには共通領域だがkNBCには存在しないタンパク質を用いて共沈してくるIRBITの量を測定した。その結果、N末端領域は全長のタンパク質と同等量のIRBITに結合し、その領域が結合部位である確証が得られた。
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