研究概要 |
我々は肥満ラット(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty : OLETF)がインスリン抵抗性症候群(Insulin resistance syndrome, IRS)の実験モデルとなりうることを確認し、天然資源抽出物質によるOLETFラットの影響を検討した、また、OLETFと対照ラット(Long-Evans Tokushima Otsuka : LETO)間およびギムネマ酸の投与によるプロテオーム変化を検討した。 1.IRSに対する実験モデルの確立 (1)肥満過食:OLETFは進行性の過食と体重増加を呈した。 (2)高血糖:OLETFは進行性の血糖値上昇を示した。 (3)高脂血症:OLETFは血清中リポタンパク質、トリグリセリドが高値を示した。 (4)脂肪肝:OLETFは非アルコール性脂肪肝であった。 2.資源抽出物質によるインスリン抵抗性症候群の改善効果 (1)ギムネマ酸:ギムネマシルベスタ抽出物質投与によるOLETFラットの過食、肥満、脂肪肝発症が抑制され、血清コレステロール値、血糖値、血清トリグリセリド値が改善された。ギムネマシルベスタ投与中止後においても効果が持続した。 (2)シナモン:シナモン投与によりOLETFラットの過食、肥満の抑制、および血糖値、血清コレステロールとLDL/HDL値が改善されることを見い出した。 (3)キトサン:ギムネマ酸、キトサンそれぞれ単独投与で小腸糖吸収の抑制作用があること、及び同時投与により相乗効果を示した。 3.天然資源抽出物質によるインスリン抵抗性症候群プロテオームへの影響 OLETF、天然資源抽出物質投与OLETF及びLETO各群の肝臓から抽出した全タンパク質のプロテオーム変化について、二次元電気泳動、PDQuestソフトウェア分析、Swiss-Protデータベース検索、飛行時間型質量分析装置同定法を用いて検討した結果,酵素タンパク質が関与する可能性があることが分かった。 以上の結果の一部を国内外の学会及び雑誌で発表した(業績を参照)。
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