研究概要 |
不連続性同定の境界値逆問題ならびに散乱の逆問題について画期的な諸成果をあげることが出来た。境界値逆問題については、再構成手続きとして知られるprobe method, enclosure method, singular source method, no response testは、すべてno response testに包括でき、probe methodとsingular source methodはまったく同じものであることが分かった。散乱の逆問題については、有名なlinear sampling methodとよばれる再構成手続期が持つ困難を解消する2種類の新しい再構成手続きを見出した。即ちlinear sampling methodでは波数がtransmission problemの固有値でないことを仮定しなければならないという困難があったが、新しい再構成手続きではこのような仮定は不要である。 また、鉄梁とコンクリート梁の接合梁の損傷同定問題に対して研究した。まず接合梁の曲げを無視できるような検査を加えることが出来るときには、検査結果から損傷の再構成手続きを与えることを示した。この結果は、BC法との関連できわめて興味深い結果である。即ち、2つの異なる速度をもつ波動伝播現象の逆問題に対してはBC法の適用が困難であるため難しいとされていた問題に対する最初の結果として大きな意味を持つからである。次に接合梁の曲げ変形を許す検査に対しては、最小二乗法による損傷同定のアルゴリズムを提案した、その数値実験については、現在研究中である。
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