研究課題
北海道企業1200社に対して、2004年8月にアンケート調査を実施した。アンケート送付先は『北海道企業年鑑』(北海道新聞社、2002年)から従業員数70名以上の会社とした。業種は、金融・保険業を除き、IT、サービス、印刷・放送、輸送、観光・ホテル、機械製造、輸送用機器製造、食品、土木・建築、小売り・卸売り、その他の11種類であった。調査項目は、1業績評価に利用する財務諸表の種類、2重視している損益計算書項目、3業績評価に使用している財務比率、4統制情報として提供されている予算の種類、5各種予算の設定頻度、6資本投資モデル、7内部統制活動である。これらの項目は企業の沿革上、草創期、成長期、安定期という3期に分けて回答を求めるものであった。アンケートの回収は184社に及び、有効回答数としては161を得ることができた。回答を分析すると、次のようなことが判明した。企業は一般的に、年齢を重ねると、財務報告の量を増加させている。業績評価のために利用する財務報告書の数が増加していた。ただし、一部の業種、例えば、食品業では、財務報告書の量は減少していた。業績評価のために利用する情報は、質的にも増加していた。つまり、財務諸表のほかに、ROE、ROA、総資産回転率や在庫回転率のような財務比率の利用が年齢とともに増加していた。他方、資本投資モデルの利用は、年齢に応じて減少する業種がみられた。観光・ホテル、サービス、小売り・卸売りでは、成長期から安定期にかけて投資モデルの利用が減少している。安定期に入り、投資が少なくなり、投資モデルの利用の必要がなくなったためと考えられる。この点は、今回の調査では原因を特定することができず、更なる調査が必要である。全体として、企業の年齢と会計システムの豊かさには高い相関があることが判明した。ごの事実はベンチャー企業を支援する制度を設計する際、大いなる示唆となろう。ベンチャー企業の成長に応じた支援制度としては会計システムの発展を動機づけるような制度の開発が望まれる。
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商学研究、小樽商科大学 55巻4号
ページ: 149-165
Commerce, Hailey College of Commerce, Lahore
Journal of Japan Socienty for Management Sciences