研究課題
本研究の目的は、従来の群速度が破綻する領域において意味を持つ新しい群速度の定義の有効性を光学領域での実験的によって検証することである。マイケルソン干渉計とチタンサファイアレーザーを用い2フェムト(10^<-15>)秒の精度でパルスの透過時間を測定可能な実験システム(平成15年度に完成)を使用し、平成16年度は、新しい群速度の定義の有効性をさまざま実験条件下で実証するために、具体的に以下の研究を行った。(1)回折格子対からなる4f型のパルス整形ユニットを新たに開発し、チタンサファイアレーザーからのフェムト秒光パルスを任意の波形に変換する実験を進めた。特に、パルス整形ユニット中に位相マスクと振幅マスクを挿入し不規則なパルス(インコヒーレントパルス)を作りだした。(2)この実験装置からの任意のパルスを強い分散媒質(ZnSe)中を伝播させ、伝播時間を調べる実験を行った。(3)この結果、インコヒーレントな光パルスは強い群速度分散によってその形を著しく変化させるが、その「重心」は一定の規則によって伝播し、コヒーレントパルスの重心と2フェムト(10^<-15>)秒の精度で一意することを実験的に示した。(4)これらの実験結果は、強い分散媒質中で従来の群速度の定義が破綻する領域でも、パルスの「重心」に基づいて記述した新しい群速度は意味を失わないことを示している。平成17年度は、引き続きフォトニック結晶などを対象に、新しい群速度の定義の有効性を実証する実験を進めていく予定である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (7件)
Journal of Optical Society of America, B 3(印刷中)
COE international symposium Nanovision Science Workshop Vol.1
ページ: 37-41
ページ: 59-60
Physical Review E 70
ページ: 4660601-4660610
Physical Review E 69
ページ: 366101-366107
Optical Review 11
ページ: 7-11
Joint International Conference on Advanced Science and Technology 2004 (China) Vol8
ページ: 72-75