研究概要 |
本研究では、光通信ネットワークにおいて、伝送光信号のデジタル処理を電子回路の助けを借りずに行う半導体デジタル全光デバイスを開発せんとしている。特に、光信号の時系列順序論理処理を行う光フリップフロップを具体的な目標として掲げ、超小型、超高速かつ低消費電力な素子を実現するための半導体光非線型性の探索、光共振器構造の追及を行っている。平成16年度は、InP系1。55μm帯多モード干渉結合器(multiple mode interference coupler ; MMI)双安定半導体レーザ(bistable laser diode ; BLD)型全光フリップフロップに関し、下記の項目を研究した。 1.分布ブラッグ反射鏡の設計:有限要素ビーム伝搬法に基づくシミュレータを開発し、素子の単一モード化と縦続接続に必須の分布ブラッグ反射鏡(DBR)の設計を行って、横モード抑圧比などの最適化を行った。 2,分布ブラッグ反射鏡の試作:電子ビーム直接描画によるDBRパターン形成とエッチングによる転写に関し、プロセス条件を確立した。 3.埋め込み再成長技術の確立:MMI部は能動導波路、DBR部は受動導波路にする必要があり、そのための能動/受動集積MOVPE再成長技術を研究、確立した。 4,基本DBRレーザの試作:MMI型全光フリップフロップを試作する準備段階として、MMIを含まないDBRレーザを作製し、そのレーザ発振動作を確認した。
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