GaN系窒化物半導体は緑色〜紫外線領域に相当するバンドギャップを持つ半導体材料であり、次世代の高輝度・高効率発光デバイス材料として大きな期待を集めている。発光ダイオードは既に商品化され広く用いられるようになってきたが、紫外線レーザーについてはまだ十分な性能のものは実現されていない。その一つの要因として、適切な基板材料が存在しないことが挙げられる。二ホウ化ジルコニウム(ZrB_2)はGaNとほぼ等しい格子定数を持ち、また、熱伝導率、電気伝導率、劈開性に優れた理想的なレーザー用基板である。ZrB_2上にGaNのエピタキシャル結晶成長が可能なことは、研究代表者により4年前に実証されたが、得られたGaN結晶の品質はまだ不十分であり、ZrB_2の格子整合という利点を引き出すには至っていない。本研究では、さらなる高品質化のために、ZrB_2上へのGaNの結晶成長プロセスの改善や、AINを含んだAIGaN混晶の利用による完全格子整合などをに取り組み、最終的にはナノ構造を持ったデバイスの試作を目指した研究を行う。今年度は、成長初期過程の制御に取り組み、GaN核形成層、AIN核形成層の効果について研究を進めた。極薄AIN核形成層を用いることで、従来のZrB_2基板上のGaNに比べて、品質を大幅に改善したGaNの成長を実現した。しかも、成長したGaNの極性は核形成層の成長条件および厚さにより、窒素極性、Ga極性両方に制御出来ることを明らかにした。
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