研究概要 |
細孔径約18μmで長短辺比の異なる矩形貫通型マイクロチャネル(MC)を有するシリコン基板を開発した。そして加工されたチップを用いて乳化を行い、長短辺比がしきい値(約3)より大きい矩形貫通型MCの場合にバラツキ3%以下の単分散エマルション(平均液滴径:42μm)が作製されることを見いだした。上述の研究成果を基に単分散液滴を効率的に作成できる矩形貫通型MCを設計した。 従来の貫通型MCと比べて20倍(約20万個)の矩形貫通孔が配置された大型貫通型MC基板を開発し、装置のスケールアップを果たした。この装置を用いて乳化を行ったところ、最大で0.05L/hの単分散液滴(バラツキ4%以下、平均直径軽:30μmの作製が可能となり、生産速度が従来の装置と比べ約10倍向上した。 貫通型MCからの液滴作製現象を数値流体力学(Computational Fluid Dynamics, CDF)的手法により解析した。円形貫通型MC(直径10μm)と楕円形貫通型MC(長軸40μm、短軸10μm)を有するCFDモデルを作成し、貫通型MCからの液滴作製現象のCFDシミュレーションを行った。円形貫通型MCモデルを通過した分散相(油)は、連続相(水)中へ連続的に流出するのみであったが、楕円形貫通型MCモデルを通過した分散相は、連続相の流れを必要とせずに直径約40μmの液滴へと変形した。このように、歪んだ断面を持つ貫通型MCからマイクロ液滴が自発的に作製される現象をCFDシミュレーションにより確認できた。
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