研究課題
1.角閃石のそれぞれの成長時期に対応する年代を知るために、岡山理科大学にてAr/Ar年代測定を行った。ポイントにレーザー(ビーム径0.02mm)を照射してアルゴンガスを発生させるこの手法は未だ開発途上であり、実際に角閃石に用いることは多分に試験的なものであった。今回の試みにより、角閃石のカリウムの量が少ないために、有意な値を得るためには、およそ50点を打ち、その全体のガスを測定する必要があることが明らかとなった。しかし、カルシウムから発生するアルゴンが誤差を大きくするために、今回は角閃石の組成変化に伴った年代の系統的な変化を見ることは出来なかつた。この影響を少なくするには、放射線を照射してから半年位で測定を行う必要があり、今回の測定の経験を生かして、再度試みる予定である。2.単結晶中に包有されている鉱物の形態変化を3つのメカニズム,(1)転位クリープ、(2)拡散クリープ、(3)界面エネルギーを駆動力とした粒界拡散による球状化をモデル化した。また、その縦横比-粒子サイズの分布パターンを天然のグラニュライト相を経験した石英岩のザクロ石と比較することにより、その変形メカニズム、変形時間、焼き鈍しの効果を明らかにした(International Geological Congressにて発表;Journal of Geophysical Researchに投稿中)。3.塩基性片岩の変形は鉱物の溶解・沈殿現象が支配すると言われているが、実際に応力に応答して溶解する機構は不明な点が多い。ギリシャ、シロス島における高圧変成岩の角閃石が、粒子境界において片方の粒子が隣り合う粒子に圧入する組織を発見し、マイクロブーディン組織との比較を行い、局所的な応力状態の変化を明らかにした。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
地学雑誌 113
ページ: 587-599
Journal of Structural Geology 26
ページ: 2203-2209
地質学雑誌
ページ: V-VI