Hubbardモデルに直接的な交換相互作用の項を加えたモデルを導出した。妥当な形で交換相互作用の効果を取り入れるため、ab initioの積分の形式よりモデルを導出した。このモデルの2電子2サイト系においては一重項-三重項間のエネルギー差は電子反発Uによる効果と直接的な交換相互作用xによる効果からなる。この効果により、通常のHubbardモデルとはことなり三重項を基底状態とすることもできる。 このモデルのクラスターモデルの6・8・10サイトの中性・ホール導入した状態について数値的に厳密に解いた。また、クーパー対の生成の傾向をみるために二次縮約密度行列の最大固有値も計算し、最大固有値が1より大きいときクーパー対の生成があると仮定した。 Uが引力的なとき、中性・ホール導入した状態の両方で1より大きい固有値を示した。つまり中性・ホール導入した状態の両方でクーパー対の生成の傾向がみられた。一方、Uが斥力的なとき中性状態においてはクーパー対の生成の傾向はみられなかったが、ホール導入した状態においては交換相互作用に対応するxの値がゼロでないときのみクーパー対の生成の傾向がみられた。Uが斥力的なとき、交換相互作用に対応するxと電子反発Uの両方が必要であった。これは交換相互作用と電子反発が関与するクーパー対生成機構の可能性を示唆している。
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