UL56と相互作用する可能性のある因子としてKIF1Aを、Yeast two-hybird法により決定した。KIF1Aはkinesin superfamilyの一つであり、neuron specificであることが知られている。この相互作用の特異性を確認する為に、GST-pulldown法を用いた。KIF1A発現細胞のcell lysateに対してGST-UL56を用いpulldownを行ったところ、KIF1Aが特異的に沈降された。GST単独、コントロールとして用いたGST-ICPOではKIF1Aの沈降は確認できなかった。細胞内でのKIF1A、UL56の局在を確認したところ、KIF1Aの発現した細胞においてUL56は、コントロールと比較して細胞の縁に集積している様子が観察された。このことはKIF1Aの存在によりUL56の存在している小胞の輸送が促進していることを示唆するものである。今後はこの輸送が促進されているということの具体的な証拠を検討していく予定である。 UL56と相互作用するウイルス側因子についても検討を行った。UL56と、HSVのコードする膜タンパク質の一つであるUL11の細胞内局在を検討した。UL11はHSV感染細胞内で小胞輸送に関わっていることが示唆されており、ゴルジ体、細胞質小胞上に存在し、ゴルジ体と細胞膜の間を移動している。蛍光抗体法を用いた結果、UL56とUL11はゴルジ体と思われる領域で共局在している様子が観察された。このことを免疫沈降法により確認した。EGFP-UL11とUL56をco-transfectした細胞を用い、抗UL56抗体で免疫沈降を行ったところ、EGFP-UL11が沈降できた。コントロールとして用いたEGFPは沈降されなかった。UL11はHSV感染細胞内において、小胞輸送に関わっていることが示唆されている。UL56とUL11の相互作用が確認出来たことから、UL56も感染細胞内小胞輸送に関わっている可能性があることが示唆できる。
|