研究概要 |
本研究ではウキクサを用いて、光周的花芽誘導の分子生物学的な解析を行っている。ウキクサからシロイヌナズナで概日時計や光周性、花芽形成に関わる遺伝子のホモログを単離し、概日時計が光周性にどのように働くのか知ることを目指している。そのために今年度は以下の4つについて主に研究を行った。 1.単離した遺伝子が様々な日長条件下でどのような発現変化を示すのかをタックマンサーマルサイクラーを用いたRT-PCR法によって解析した。例えば骨格周期中で概日リズムを示す遺伝子がどのような発現変化を示すのかを調べた。 2.ディジェネレートプライマーを用いたRT-PCR法によって概日リズムを示す遺伝子として新たに、シロイヌナズナで概日時計の中心振動体で働くLHYのホモログ遺伝子を単離した(LgLHY H1,LgLHY H2,LpLHY H1,LpLHY H2)。発現解析を行った結果LgLHY H1,LpLHY H1の発現はシロイヌナズナのLHYと同様に明け方にピークを持つこと、LgLHY H2,LpLHY H2はこれより少しピークが遅れることが分かった。 3.発現量が少ない遺伝子や遺伝子のプロモーターを単離するためにL.gibba G3のゲノミックライブラリを作成した。現在シロイヌナズナで光周性に重要な働きをするCOのホモログ遺伝子をスクリーニング中であり、いくつかの候補が得られてきている。 4.ウキクサのアグロバクテリウムによる形質転換法について報告があったので、これを参考にL.gibba G3の形質転換を検討中である。すでにカルス誘導に成功し、現在はアグロバクテリウムを感染させてGUS遺伝子を過剰発現した形質転換体を作成中である。形質転換法が確立次第、発光レポーター系を用いた概日リズムの解析、遺伝子の過剰発現体や遺伝子機能欠損体の解析を行う予定である。
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