研究概要 |
前震群のマルチフラクタル特性を用いた地震予知への基礎研究を行うためには、地震群へのフラクタル概念の適用可能性を検証する必要がある。そこで私は、典型的な地震群のひとつとみなされる余震群が示す空間分布についてフラクタル解析を行った。この予察的研究を行うために、地震データファイル'SEIS-PC'に収録されているデータが使用され、日本で起きた14個の内陸地震に伴って発生した余震の震央分布について相関積分を用いたフラクタル解析が行われた。解析された余震の空間分布はフラクタル特性を示すことが確認され、それらのフラクタル次元が見積もられた。さらに本研究課題を発展させるために私は、余震域内にある既存の活断層系についてボックスカウンティング法を用いたフラクタル解析を行った。この解析から、活断層系の空間分布に関するフラクタル特性が確認され、フラクタル次元の値が得られた。そして、この二種類のフラクタル次元の関係を調べた結果、正の相関があることを発見した。この相関関係は、余震域内のある活断層系の占有率がますにつれて余震のクラスタリングは弱くなることを示している。ゆえに、地震がフラクタルバックボーンをなす活断層上でのフラクタル現象であることを本研究は明らかにし、余震活動の空間分布と活断層系のフラクタル性を結合した(Nanjo and Nagahama,2004)。さらに私は、ここで得られた余震活動のフラクタル特性に関する成果をもとに、地震活動の時空間的拡散および地震電磁気現象を議論した(Nanjo and Nagahama,2004 in press)。 今年度に行われた研究によって、地震群へのフラクタル概念の適用可能性が明らかにされた。この研究成果をもとに今後私は、前震のマルチフラクタル特性を用いた地震予知への基礎研究を推進していく予定でいる。
|