研究概要 |
健康成人18名(21.9±0.68歳)を対象として,認知機能に関する実験を実施した。実験に際しては,これまで報告者が蓄積してきた実験手続きやスケジュールを駆使し,剰余変数の混入を防ぎ,厳密な統制条件下で行った。実験被験者には本研究の実験内容および手続きを十分に説明し,インフォームドコンセントを得た。 実験の流れを以下に記す。まず各被験者に対し,実験3日前より生活統制を行った。通常の就床時刻をCircadian time 0時とし,規則正しい生活を送るよう指示した。非利き腕にアクチグラフを装着させ,生体リズムの統制を厳密に確認した。実験前日は自宅にて通常の睡眠をとらせるControl条件と,睡眠不足状態をシミュレートすることを目的とし90分間の部分断眠を課すDeprivation条件をカウンターバランスで配置した。翌CT9時に実験室に来室させ,脳波等を装着した上で以下のテストバッテリーを使用し,前頭連合野機能への影響を測定した。テストバッテリーは,(1)visual analog scaleを用いた眠気や意欲に関する主観調査,(2)安静時開眼および閉眼時脳波測定,(3)事象関連電位P300測定,(4)psychomotor vigilance task(数字加算課題,作業記憶課題,記憶操作課題(セマンティックプライム),英数字検出課題,go/no-go課題)とした。部分的睡眠遮断がどの前頭連合野機能へより強く影響を及ぼしているか,回復過程を用いて確認するため,CT10時より20分間安静仰臥位を保たせた後,再度テストバッテリーを施行した。現在,一連の実験を終了し,解析段階である。今後結果をとりまとめ,学会報告および論文発表を行う予定である。
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