平成16年度中の研究実績を要約すれば以下のとおりである。 (1)博士論文の作成 主な内容は、1)近世から近代にかけての日本医療の変遷について国際比較の観点から分析、2)日本農村の戦前期の医療状況、3)「医療組合(現、厚生連)」という日本独自の(農村)医療組織についての分析、4)戦時期国家政策と医療利用組合の関係、5)国民健康保険法の成立過程と医療組合との関係、と多岐にわたるものである。これは平成17年度中に東京大学に博士論文として提出し学位を取得する見込のものである。また、上述の1)、5)はそれぞれ独立した論文として投稿する予定のものである。 (2)学会・研究会への参加 昨年度に引き続き、「『岩手の保険』を読む」研究会(主催者:北河賢三教授/早稲田大学)、「原点から農村医療と厚生連の役割を考える研究会」(主催者:全国厚生連有志者)および農業史学会に参加した。 (3)理論的著作の読解、資史料の解析 上述(1)の作業の一部としてミシェル・フーコーのバイオ・ポリティクスをめぐる諸著作の読解を進めてきた。また、近世末期から戦時期にいたるまでの医療に関わる諸資史料の会読、分析を行なってきた。
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