平成17年度は、計画の最終年度であった。 本研究の目的は、まず、19世紀前半のポーゼン州の具体的な分析を通じて、「ネイション」を当時の文脈からとらえ直し、その上で、国家・地域・「ネイション」の三者の相互関係を明らかにしていくことである。そして、その結果を踏まえて対象年代を19世紀後半、対象地域を「ドイツ領ポーランド」全域へと拡大することを予定している。このため、本研究の基礎として、史資料の広範な収集が不可欠である。 昨年度、19世紀前半のポーゼン州の国制と地域を扱った博士論文を提出したため、今年度は1848年革命以降の19世紀後半に関する主題とその資料を探すことに主力を傾けた。ドイツ・ベルリンのプロイセン枢密文書館、ポーランドのポズナン国立文書館、ビドゴシチ国立文書館における史料探索により、ポーランド連盟など19世紀半ばから後半にかけてのアソシエーション活動に関する主題を設定することができた。 今年度は、成果が論文という形では現れなかった。「ヨーロッパ(近代-ドイツ・スイス・ネーデルラント)(回顧と展望)」、『史学雑誌』114編5号(2005年5月)においては、2004年の日本における近代ドイツ・スイス・ネーデルラントの研究状況をサーベイし、自分の研究の位置づけを行うことができたのは成果であった。また、ドイツ現代史学会の報告では、従来行ってきた研究のまとめを行うことができた。 今年度の研究活動は、今後の研究の基礎となるであろう。
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