1(1)本研究の検討対象である事業者間の業務提携は、一般的には競争法上是認される行為であると考えられているため、その個々の行為に対する規制ルールの構築が非常に困難である。特に、近年の日本では、事業者の経営内容の多様化を受けて業務提携が広く利用され、同時に、競争上の懸念を生じさせているにもかかわらず、日本における独禁法上の評価は未だ明らかではなく、学会における議論の蓄積も乏しい。もちろん、先例となるような審判決例もない。 (2)この難点を補うべく、古くからの議論と判例の蓄積により、一定の規制ルールを構築しているといって差し支えないと思われる米国・ECにおける議論を参考に、業務提携がどのような状況で独禁法の適用対象となるのかという法的評価の確定に資するような規制ルールの実態と理論を明らかにするのが本研究課題の目的である。 2(1)平成15年度は、前半は、事業者間の業務提携に対する米国反トラスト法による規制の実態と理論を把握するため、米国の業務提携に関する判例を収集した。その際、米国における先行業績の収集・分類も併せて行った。後半は、事業者間の業務提携に対する解釈や法的評価の確定、さらには規制ルールの明確化・具体化のため、業務提携行為の経済学的分析を含めた学際的検討を行った。 (2)2(1)に記載した作業を遂行するべく、1で記載した目的に沿った我が国経済法関係の先行業績(図書)、経済学関係図書、および米国反トラスト法(経済法)関係図書を、特別研究員奨励費の助成を受けて、購入・収集した。 3 2における作業の成果の一部を、論稿として雑誌「公正取引」に公表した(下記、11.参照)。また、同じく成果の一部を、(財)比較法研究センター主催の独禁法研究会において3回(2003年7月・同年9月・2004年3月)研究報告した。
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