研究概要 |
ミトコンドリア融合因子(Mitofusin-2,Mfn2)とミトコンドリア分裂因子.(Dynamin-related protein-1,Drp1)が精子形成時に発現量が共に増大することから,この時期にミトコンドリアが頻繁に融合と分裂を繰り返し短期間に均一化している仮説を提唱した。その証明をするために,まず(1)RNAiによる両因子の発現量の調節,(2)同一細胞内におけるミトコンドリアの物質交換を観察する系の確立を目指し,実験を行った。以下,その結果を示す。 Mfn2とDrp1の配列を元にRNAiが効果的に働くのに適した配列を数種類選び,市販ベクターpSilencerに導入し,数種の培養細胞にトランスフェクトし,その効果をウェスタン解析により調べた。その結果,優位な発現量の抑制を観察することができなかった。現在,レトロヴァイラスや合成RNAを用いて,同様の実験を行う予定である。 次に,UV領域の波長を当てると励起する波長が変化するphotoactivatable GFP(PA-GFP)を譲渡してもらい,PA-GFPのN末領域にミトコンドリア移行シグナルを加え,培養細胞に導入し,細胞の一部にUV領域の波長を当て,細胞の観察をリアルタイムに行った。その結果,同一細胞内におけるミトコンドリアの異なる部位で違う励起波長のGFPと,時間経過と共に両GFPが交わっていく様子を観察し,この系の有効性を見出した。 また,Mfn2の活性化メカニズムの解明と相互作用する分子の探索をするため,Mfnの種々の変異遺伝子を作成し,細胞生物学的手法を用いて解析中である。
|