学校の内外を結ぶ通信環境を活用した学習カリキュラム/学習環境デザインにあたって、本年度は、【1】「小学校における調査探究活動の実態と課題の把握・分析」を行うとともに、【2】「博物学的データベース『博物館の博物館』の掲示板に寄せられたメッセージ分析によるアクセス者のニーズ分析・把握」を行い、これらと並行して【3】「小学校における調査探究活動の質的研究法による実態調査」を行った。 【3】については現在データ分析中であるが、【2】より、(a)現在の児童生徒の情報ニーズ(知的欲求)の多くが、学校、特に教科学習とそこにおける学習課題・宿題などから生成されたものであること、また、(b)欲する情報(疑問・課題に対する「答え」となる情報)が得られた場合、それ以上の知的欲求が生じ難い などの児童の現状が見えてきた。この分析結果の一部を、日本教育工学会第20回全国大会において、「ネットワーク上における博物館ボランタリーデータベースのコーディネートに関する研究(7)」として報告した。 また【1】より得られた知見の一例を挙げると、「総合的な学習の時間」を児童は意欲をもって捉えているものの、学習過程において学習目的・課題を喪失した時(あるいは1つの学習目的・課題が達成・充足された時)、児童の興味関心・意欲が低下する傾向にあることが明らかとなった。 これら学校教育の現状と児童の探究活動における課題をふまえ、【4】インターネット上における学習カリキュラム/学習環境デザインについて検討を行い、環境整備・学習コンテンツ開発/制作を進めることとした。上記課題より「専門家が"学習情報"ではなく"専門的研究視点"を提供する」学習コンテンツの開発/制作を目指し、数名の専門家との間で、その内容や提示方法・コンテンツデザインについて検討をすすめ、このうち川と魚の専門家の方に協力いただき、コンテンツ素材をVTRに収録した。
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