研究概要 |
次世代の高機能半導体の製造では,設計ルールが65nm以下へと微細化が進むことに加えて,従来まで用いられていたウエハとは違ったSOI(Silicon On Insulator)ウエハの使用が主流になる.本研究では,このSOIウエハにおけるSOI・BOX層の表面層微小欠陥解析技術の開発を目指し,シリコン薄膜に光を伝播させることで発生するエバネッセント場を,両薄膜層内における3次元的な場の情報媒体として捉え,試料表面でのファイバープローブの走査によって検出された光強度分布の解析により,欠陥の位置及び大きさ,種別の識別を可能にすることを目指す. SOIウエハにおける絶縁層上のシリコン薄膜(SOI層)を3層誘電体スラブ導波路と見立て,FDTD法を用いることによって,入射条件の違いによるシリフン薄膜内における光の伝播状態の数値解析を行った.また,このとき薄膜内の光の流れが定常に達した場合に,薄膜表面に発生するエバネッセント波の性質を解析し,薄膜表面上をプローブによって走査した際の近接場の乱れを再現し,これによりSOI・BOXの両層,特に下層であるBOX層内に欠陥が存在している場合であっても,ウエハ表面におけるプローブ走査によってその検出が可能であることを確認した. 以上の得られた解析結果に基づき,赤外エバネッセント光を用いたシリコン薄膜層内欠陥計測光学系の構築を開始し,単結晶シリコン製のマイクロプリズムを用いることによってSOI層への赤外光の入射・伝播特性を解析する基礎実験を行った.この結果,SOIウエハ表面上に発生したエバネッセント場のNSOM用ファイバー・プロープによる検出に成功し,SOIウエハのシリコン薄膜層内への赤外光入射による薄膜層内欠陥検出の可能性を示した.
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