研究課題
4〜6月、これまでに収集した一次資料と国内外の文献をまとめ、論文「遊牧民の離合集散と世話のやける家畜たち」を執筆した。この論文は、放牧を中心とした生業技術と社会の特徴を検討し、放牧群の編成の変わりやすさのまとまりのなさ、その原因となる牧民自身の離合集散性を明らかにした。8〜9月にはロシア連邦で調査をおこなった。ブリヤート共和国のウラン・ウデ市では、科学アカデミーと国立大学の研究者と学術交流をおこなった(その後、当大学の紀要に論文を寄稿)。チタ州アギンスクでは、ブリヤート人の歴史に関する資料を博物館・古文書館等で収集し、同州アルハナイでは1930年代のモソゴルへの人口移動に関して聞き込みを行った。また大都市(モスクワとペテルブルク)においても、ブリヤート人の民族アイデンティティと社会的ネットワークを調査した。11月23〜24日には第7回京都大学国際シンポジウム(タイ、バンコク市)に参加し、"What is O fvoljoo for the Mongolian Herders?"と題する発表(ポスター発表とショートスピーチ)をおこない、ローカル/グローバルな価値の接点と位置づけられる土地の私有化政策に着目し、これに対して人々が固有の自然・社会・文化的に応じた独特の対応をしていることを示した。12〜3月には、論文「家畜が商品からこぼれ出る」にて、経済的下部構造が変化しても人間と家畜の間には文化固有の関係が成立することを示した。また「モンゴル研究への苦難の道のり」では、人類学というディシプリンとフィールドワーカーのポジショナリティーについて自らの経験をもとに論じた。さらに、3年間の研究成果をまとめる大論文「モンゴル国牧畜地域における政治経済変化と遊動的牧畜:社会主義から市場経済への移行のなかで」を執筆した(近く本として公刊予定)。
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Vestnik BGU (Bulletin of the Buryat State University) 18(2)(印刷中)(受理された)
アジア・アフリカ地域研究 6(1)(印刷中)(受理された)
人文學報 93(印刷中)(受理された)
Coexistence with Nature in a ‘glocalizing'world-Field Science Perspectives-(Proceedings of The 7th Kyoto University International Symposium, 2005)(Kozo HIRAMATSU (ed.))
ページ: 239-246
Mongolian Journal of Anthropology, Archaeology and Ethnology 1(1)
ページ: 113-120