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2003 年度 実績報告書

フサオマキザルにおける協力行動と他者の役割りの理解

研究課題

研究課題/領域番号 03J04971
研究機関京都大学

研究代表者

中山 桂  京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)

キーワードフサオマキザル / 協力行動
研究概要

本研究では,餌をめぐる個体間の競合と協力行動の成立について検討した。8組のフサオマキザル(4組が非協力ペア,残りの4組が協力ペア)で同時「棒ひき課題」をおこなった。テーブルの両端に棒が取りつけられており,サルが棒をひくとテーブルが回転,もしくは手前にスライドする仕組みになっている。1頭のサルがテーブルの片側から棒をひくと,テーブルが力の方向に回転し,棒をひいたサルだけが餌を手にいれることができる。2頭のサルが両側から棒をひくと,テーブル全体が力の方向にスライドし,両方のサルが餌を手にいれることができる。この課題では,2頭のサルが個々に棒をひいても餌を手にいれることができるが,2頭が協力して一緒に棒をひくと,より多くの餌を手にいれることができる。非協力ペアの優位のサルは,劣位のサルを攻撃し追いはらうなどして装置を独占した。その結果,2頭のサルのあいだに協力はおこらず,優位のサルによる餌の独占がみられた。対照的に,協力ペアでは個体間の攻撃的なやりとりや装置の独占はみられなかった。2頭のサルが協力したのは,1)2頭でひかないと餌が手にはいらない場面,2)1頭でひくよりも2頭でひいた方がより多くの餌が手にはいる場面であった。一方,2頭のサルが協力しなかったのは,3)あきらかに片方のサルしか餌がとれない場面,4)1頭でひいても2頭でひいても手にはいる餌の量が同じ場面であった。すなわち,相手と一緒に棒をひいても得をしない時には協力せず、相手と一緒に棒をひくことでより多くの餌を手にいれられる競合的な場面では協力が好まれた。しかしながら,協力ペアの2頭の餌配分は均等ではなく,餌をめぐる競合が高い場面ほど劣位のサルが損をしていた。現在、行動の詳細な分析をとおして、協力的問題解決にいたるサルの戦略および、認知的プロセスについての相対的な考察をおこなっている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Nakayama, K.: "A critical review of the research on self-directed behaviour in primates."American Journal of Primatology (Abstract). 60(1). 127-128 (2003)

  • [文献書誌] 中山 桂: "「せーのっ」で引いて餌をとる-フサオマキザルの競合的協力行動-"日本動物行動学会第22回大会(発表要旨集). 77-77 (2003)

  • [文献書誌] 中山 桂: "フサオマキザルにおける競合的協力行動"日本動物心理学会第63回大会 日本基礎心理学会第22回大会(合同大会発表要旨). 44-44 (2003)

  • [文献書誌] Nakayama, K.: "To Cooperate or not to cooperate-You work alone and you get one, but you and I work together and you get more-"Self, Cognition, and Emotion Kyoto-Michigan Collaboration in Psychology (Abstract). 64-64 (2003)

  • [文献書誌] Nakayama, K.: "Observing conspecifics scratching induces a contagion of scratching in Japanese monkeys (Macaca fuscata)."Journal of Comparative Psychology. 118(1)(in press). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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