研究概要 |
本年度は地上磁場データ、そしてデンマークの低高度磁場観測衛星Oerstedの観測した高精度磁場データとアメリカの低高度衛星DMSP-F7,F12,F13,F14,F15の観測した磁場データ粒子フラックスデータを用いて電離層電流と磁気圏電流の構造の解明を行った. (1)地上磁場データとOersted衛星観測磁場データより 南北半球間のSq電流の非対称から流れる沿磁力線電流の季節変動異常を解析した。この沿磁力線電流の電流強度とその流れる方向は季節変化するが、本研究によって得られた季節変化は理論的に予測された物より2ヶ月遅れる事を初めて発見した.従来Sq電流の南北半球間の非対称によってのみ生成されると考えられていたが、電流強度そのものでは無く、地磁気共役点間の電気伝導度に大きく依存事が示された。この成果はIUGG学会(口頭・ポスター)にて報告した。 (2)Oersted衛星観測磁場データとDMSP衛星観測磁場データ、粒子フラックスデータより 昼側磁気圏から昼側電離層に流入し、夜側電離層から夜側磁気圏に流出する沿磁力線電流の存在をOersted衛星から確認したが、本年度はこの電流系の存在をDMSP衛星観測磁場データから視覚的に示し、本電流系の発達する地球物理学的条件と発達のメカニズムを解明した。本電流系は磁気嵐主相に著しく発達し、磁気嵐回復時には強く見られない事を初めて定量的に示した。本電流系のサブストーム時における振る舞いも定量的に示した.この電流系の発達条件が磁気嵐主相時の極冠域の高い電気伝導度、とりわけHall伝導度の緯度方向の発散で完全に説明できる事を示した。この成果をEG^S-AG^U(ポスター)、SGE pSS秋学会(口頭)にて報告した。
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